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「うれしいねぇ~」 ~認知症デイサービス編 ①~


認知症デイサービスに看護師として週1回勤務して、

ケアワーカーさんにオイルのこと、手や足の施術の手技を指導して、

共に利用者の方々に施術をしています。

 

89歳 認知症のHさん(女性)の話です。

Hさんは、腰も曲がっておらず、杖もつかずにしっかり歩いています。

昼食後は、ソファに座り、居眠りをすることが多いです。

 

昼食後、ソファに座っているHさんを見ると、まだ起きていました。

“足のマッサージしましょう?”と、声をかけると、ニコニコして、

“やんなくていいよ!

マッサージなんて、1回もやってもらったことないからね” と。

(実際は、10回以上、デイで行っていますが忘れています)

 

“きれいになるからやりましょう”  と私が言うと、

“そぉう?  私なんか、きれいになんかならないよ”  と。

“そんなことないよ、きれいいなるよ”  と、マッサージの準備をしながら

誘導をしていきました。

 

足部~ふくらはぎのアロマトリートメントを行い、

足の指の動きも柔らかく動き、皮膚もきれいになったので、

 

Hさん、足がすごく柔らかいし、きれいだね”  と言うと、

“そお?  そんなことないよ、年だから汚い足だよ”  とニコニコ顔。

“本当に、きれいだよ、

見て このきれいで、柔らかい足!” と、足を見せながら言うと、

 

“やだ~ そんなこと言ってくれるの、あんたしかいないよ。うれしいねぇ~” とニコニコ顔(*^_^*)。

 

こんな、やり取りをしながら、ニコニコしている顔のHさんを見ていると、

施術をした私がすごくうれしくて、楽しくなり、癒される ひと時です。

 

次の瞬間には、足のアロマトリートメントを受けたことを忘れてしまうのですが、

子どものようなHさんの表情が、何とも言えず可愛らしいです。

                                          介護アロマ 2017-11

【在宅での看取り】  最期まで残される妻に思いをかけていた夫

患者:73歳 男性I

病名:前立腺がん末期、転移性多発性骨腫瘍

症状:三又神経痛と左顔面麻痺。左顔面しびれ、左耳難聴、

        左眼奥の疼痛と視力障害、左嗅覚障害、左側嚥下障害

家族:妻と2人暮らし

施術期間:初回施術~他界まで、80日間で7回施術

 

初回訪問時、I氏は病院で受けた抗がん剤の副作用で苦しんできたことを語った。

 

その症状は、三又神経痛による左顔面の疼痛、

とくに左眼の奥の痛みと痺れがつらく、  

さらに、左顔面麻痺で左眼視力はなし、

左耳難聴、左側嚥下障害でよだれが出てしまうことなどであった。

 

抗癌剤の治療効果が望めず、副作用で苦しんでいる現状があったからこそ、

在宅診療を希望し、住み慣れた我が家で妻との生活を選択された。

訪問診療医による往診、訪問看護、訪問アロマとして所澤がチームに入った。

 

初回のメディカルアロマトリートメントは、

首~肩の筋緊張がつらいこともあり、

仰臥位で頭皮⇒顔⇒首~肩部とデコルテを行った。

 

I氏は「よかったよ!」と。

施術後、Iさんは菓子とお茶を飲みながら病気のドラマを多弁に話していた。

 

2回目の施術も希望され、腰痛があり、右側臥位で背中と下肢のだるさがあり

下肢の施術も1回目の施術に追加した。

 

3回目の施術前に、「2回目のマッサージは身体が治った感覚があって、

1回目の感覚とは違っていたよ。」と。

施術後、「良くなったよ。23か月(命が)もつかな?」と、突然聞かれた。

私は“大丈夫と思いますよ”と、Iさんと妻のユーモアのある楽しい会話を聞いて

返答をしたほどであった。

 

Iさんは、左眼奥の疼痛や左眼周囲の浮腫みで、

左右の眼の大きさが異なり、顔もゆがんでいた。

 

施術後に妻は、「曲がった顔がよくなって、両眼の左右差がなく、

はっきり眼がして、すっきりした表情だね」と、ニコニコして言っていた。

 

驚いたことがあった。

 

亡くなる16日前の訪問時、庭に45Lの大きなゴミ袋が8袋置いてあり、

誰が樹を切ったのですか?とお尋ねすると、

 

Iさんは「私が亡くなると妻は庭の大きな木を切ることができないから、

お隣に迷惑がかかるといけないから切ったんだ!」と言われた。

 

亡くなる前に、大きな樹木をのこぎりで切ったIさん。

 

残される妻に対する思いやりが素敵!

 

Iさんは自分の人生をしっかり見つめている人であると思った。

最期の時まで、妻を気づかい、できる限りのことを行って旅立ったIさんでした。


終末期の乳がん患者へのアロマ施術と              家族への香りのグリーフケア


終末期の乳がん患者58
歳のTさんは、

在宅での看取りを選択しました。

 

と言うのは、病院で抗ガン治療を受けましたが、

その治療効果は期待の反対であったからです。

 

Tさんのご家族は、ご主人と息子2人の4人家族です。

 

Tさんは、信頼している訪問看護ステーションの所長から

私の存在を聞き、施術を受けたいと希望されました。

 

Tさんの病状は、既に骨・肺・肝臓に転移があり、

死が間近にある状態で、

胸水と腹水の貯留、両下肢に軽度の浮腫がありました。

 

日常生活動作(ADL)は、何とかトイレに行けている状態でした。

 

20177月、初回訪問時の施術は、症状を加味して

セミファーラー位(やや上半身のベッドをあげた状態)で、

頭皮・デコルテ、両肩部、腹部と両下肢の施術をしました。

 

Tさんは、はっきりした性格で、

施術後に

「こんなに気持ちよくて楽になるの!17万円の抗癌剤よりいいわ」

と言い、週1回の施術を希望されました。

 

施術2回目、3回目と徐々に状態は悪化していきました。

 

施術3回目の時に、

Tさんは、「昨日が私の命日だと思ったの。それほど具合が悪かったの・・」と。施術が終わると、「落ち着いた、元気になった!」と、表情も明るくなり、

活気がもどり、よく話すようになりました。

 

しかし、病状は刻々と死が迫ってきていることがうかがえました。

少しでも施術を受けて、心身の緊張が和らぎ、

Tさんらしい最期の時を家族とともに過ごしてほしいと思いました。

 

Tさんの最期は、家族に見守られ、

苦痛もさほどなく穏やかに亡くなられました。

施術4回目予定日の2日前でした。

 

亡くなられた日に弔問にうかがいました。

Tさんはとっても小さくなっており、

お話をして下さったことが懐かしく思い出されました。

 

私は、施術をさせていただいた香りを

ご主人、特に2人の息子さんに香っていただきたいと思い、

ご主人にTさんのハンカチをもってきていただき、

真正ラベンダーとオレンジの精油をそのハンカチに垂らし、

ご主人に、「Tさんが好きだった香りで、

この香りでマッサージをさせて頂きました。」、と言って手渡しました。

 

ご主人は、ハンカチの香りを嗅ぎ、「いい香り」と言われた後、息子さん2人に香りの説明をして手渡しました。

 

息子さん達が、その香りを鼻元でていねいにじっくりとかいでいる姿は、

母親がこの香りでマッサージを受けたんだな・・と、

感じとるように嗅いでおられ、

その姿を見ていた私が感動を受けたほどでした。

 

香りは脳にダイレクトに働きかけます。

いつかこの香りに再会した時には、

ご家族はTさんのことを回想することでしょう。

ですから香りは、グリーフケアの役割を担うことができるのです。

 

 17年間、アロマの香りとともに、

大切な患者さんの死に出会ってきました。

よい香りは、人と人とを結びつけていくことができるように感じます。

 

2017813日  所澤いづみ

「ケアに役立つ高齢者および認知症高齢者へのアロマセラピー」セミナーを終えて

先日の研修セミナーを終えて、講師としての感想です。(コメディカルアカデミー主催) セミナーの参加者は、福祉職・介護職の方が2/3、看護師が1/3の割合であることでした。長年開催してきた私のセミナーは、ほとんどが看護職か、あるいは看護師が2/3、福祉職・介護職が1/3で、今までとは専門職種が逆転しました。その理由として、34年前から介護現場で、認知症高齢者にアロマセラピーを導入することに取り組みはじめて、本を書いたり、発表している経緯があるからだと思います。

 

私がアロマを通じて皆さんに伝えたいことは、「優しさのあるアロマセラピー」を感じとっていただくことです。

 

午前は座学の講義で、看護・介護ケアにおけるアロマセラピーの基本を学び、事例を紹介しました。

午後は実技で、患者や高齢者へのハンドトリートメントと拘縮患者へのハンドトリートメント、その次に足部のアロマトリートメントを行いました。健康な方に対する施術と患者や高齢者に対する施術とでは、配慮や施術方法など全くと言っていいほど違いがあります。エステではなくメディカルアロマであり、患者一人一人の症状に合わせて施術をしていくことが重要になります。

 

セミナー終了後、何人かの受講生からお話を受けた中で嬉しかったことの一つに、私のセミナーを複数回うけて下さっている方からのお話でした。「所澤先生から拘縮の施術を教わって、長年、手が拘縮している方に施術をしたら、本当に拘縮が改善して、手や指がゆるんで広がったの。」と。この体験談は嬉しかったですね。本当に、長年の手の拘縮は、ゆるむのです。この施術には、コツがありますし、私の講義を聞くことで拘縮に対する考え方が変わると思います。まずは、患者さんや高齢者の方の心身の緊張を和らげることから始めます。

アロマセラピー専門書を共著で出版しました

書籍名「アロマセラピー学」

塩田清二監修 悠光堂http://youkoodoo.co.jp/books/ 

20175月出版

 

アロマセラピーの専門家が、

アロマセラピーについて分かりやすく説明しています。

その中で、私は、

「福祉・介護現場におけるアロマセラピーの現状と可能性」

について書いています。

要旨の部分を“ちょっと見”して下さい。



要旨

わが国の高齢化は急速に進み、全国各自治体で2025年問題の取り組みが始められている。今後、福祉・介護現場における介護職には、重責ともいえる役割と期待がのしかかり、介護職のストレスは計り知れない。介護現場におけるアロマセラピーの現状は、芳香浴、クラフト作りや手足のアロマトリートメントが取り入れられている。が、働いている介護職が行うのではなく、ボランティアや外部のサービス業者が高齢者施設に参入して行っている状況がほとんどである。本来、アロマセラピーは芳香療法であり、アロマトリートメントを行う人と受ける人が同時に香りによるリラックス効果などの恩恵を受ける。今後はこの恩恵を介護現場では、介護職が利用者にアロマトリートメントを行うことで受けてほしい。施術により症状が和らぎ利用者のADL(Activities of Daily Life)が拡大し、QOL(Quality of Life)が向上することは、利用者の生きがいにつながると同時に介護職の仕事のやりがいにつながり、ひいては介護職の退職を減らす可能性を秘めたアロマケアになり得ると考える。